2009年 第1回 東京

日本における変化のためのフォーラム:~革新の次世代を創造していくために~

日程

2009年11月22日

会場

大田区産業プラザPio

大会スケジュール

9:30~ 受付開始

10:00~12:00 大会記念シンポジウム

「MRI50周年大会報告」

13:00~15:00 事例発表

15:30~17:30 研究発表

日本ブリーフセラピー協会 代表挨拶 MRIの巨人達の肩の上で
長谷川 啓三(東北大学)

「ブリーフセラピーにもいろいろある」というメッセージが目につきます。

正論で間違いではないけれど、ブリーフセラピーは1960年代にMRIのプロジェクトとして、リチャード・フィッシュ博士が命名したものとして出発をしたことまでを、うやむやにしては、まともなセラピストや研究者としての姿勢が問われます。ポイントは個人の内的心理に基礎を置かずに、心的な病理は、個人を超えて対人間で維持されるものであると、徹底して考えようとする姿勢です。NFBTの学術雑誌「インタラクショナル・マインド」という誌名もそこから来ています。

また先のメッセージはSFAとの区別を、政治的な意味で利用しようという意図もあると、識者ならわかるはずです。実際にはドシェーザーとインスーはともにMRIの研究員であり、MRIのジョン・ウイークランドを終生、慕っていたことも忘れてはいけません。

今回のMRI誕生50周年記念会議で、長谷川らは招待スピーカーとして、ジョンがこのことに関して、太極図を描いて示した1995年日本でのワークショップでの模様を紹介しました。

現在のMRI短期療法センターのヘッドであるカリーン・シュランガーもうなずいていました。僕たちは、このジョンのスタンスをもとに、MRIとSFAのダブル・ディスクリプティブなスタンスで進んできました。ドシェーザーとも議論したことがあります。もともとソリューションに焦点を当てているではないかと。ダブル・ディスクリプション、多分これが今のところ、もっとも理論的にも実践的にもリアルで効果的な方法だと思います。

エリクソンとの関係についてもそうです。MRIの研究者はイルカのコミュニケーションや精神疾患者を含む家族のコミュニケーションなどと並んでエリクソンの催眠というコミュニケーションを研究しました。彼らにとってエリクソンは変化を生むコミュニケーションの一般理論のための重要ではあるがリソースのひとつに過ぎません。エリクソンは重要ですが、埋没してしまうとブリーフの展開にとってパラドクスを生んでしまいます。ドシェーザーとは、そんな議論をしたこともあります。

今回のMRI50周年記念国際会議では、そんな日本での展開をふくめここ15年ほどの成果を世界に報告できました。参加者によれば、大がつくほどの好評を得ました。 NFBTの第1回学術会議、自分はこの点に力点をおいて今後の方向を議論し、第2回もしくは第3回大会から始めたい「ラディカルな国際性」の準備ができればと思います。

第一回学術会議大会長挨拶
生田 倫子(慶応大学)

日本ブリーフセラピー協会(略称NFBT)第一回学術研究発表大会を、2009年11月22日に大田区産業プラザPioにて開催させていただくことになりました。大会テーマは、「日本における変化のためのフォーラム:~革新の次世代を創造していくために~」です。

今年は、かのベイトソングループが家族療法の拠点として設立したMRIの50周年記念の年にあたります。このような記念すべき年に、第一回大会として産声をあげること、大変感慨深く感じております。内容は、8月のカンファレンスの報告、そして短期療法を学ぶ会各支部長の事例紹介、そして研究発表となります。

カンファレンス報告では、世界の家族療法を牽引する家族療法家達が一同に会したMRI50周年記念カンファレンスで、何が発表され、また今後の課題として議論されたことが発表されます。今後日本における家族療法が世界に発信していくことは何かということについて、まさしく革新の次世代を創造するという大会テーマに沿った活発な議論の一里塚となれば幸いです。

また、研究発表や事例発表について活発に議論が交わされ,参加された皆様の交流がいっそう深まる大会にしたいと,準備委員会一同願っております。皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げます。